2017年2月12日日曜日

三和土をめぐる伝統工法のあれこれ

京都で木造住宅・木造建築・町家・店舗建築等の設計施工を行う建築設計事務所


三和土(たたき)仕上げの玄関
文字通りただ土をたたいて仕上げる工法
50年の左官職人の中で6度目だと熟練の職方に伝えられました。
歩く場所が徐々に凹み、生活の痕が表面に現れる工法です。
無垢材を使ったり、左官壁を塗ったり、三和土にしたり、昔の建て方に徐々に接近しつつありますが、昔が手放しに良いと思っているわけではありません。
単純に味があるからという理由です。味とは偶然にある木の節とか、左官の塗り斑でしょうか。かと言って一品製作であるべきだと思っているわけでもありません。
昔に戻ろうとすると、手間がかかり過ぎて、工期もコストも危うくなります。
手間のかけた仕事はメンテも手間がかかります。
そこにきて大量生産で良質な住宅を提供するメーカーは当然ながらそのような職人の腕とかむらとか偶然のものに構っていたら、無理なので参入しません。メーカーなら技術的にはいつでも参入できると思います。

下の写真は三和土の土間を作る工程です。
わずか3㎡程度の土間に職人さんが4人で3日かかります。12人工ですね。
材料費と手間は推して知るべしです。
効率は激しく悪いです。だから50年で6回目なんですね




古い建築が美しく見えるのは何故でしょうか。
昔に建った新築は美しかったのでしょうか。
篠原一男の論を読み返しますと、桂離宮にしても白い障子が黒ずんだ梁と柱で区画されてこそ、幾何学模様になり、当初は白木に白い障子であったわけで、意図された構成ではなかったということです。なるほど白木にとりつけられた金の手がけなどは、貴族趣味が勝って、今の桂離宮とはかけ離れた感じであっただろうと思われます。
金閣の金箔も黒ずんだ金箔は金閣の目的ではなく、金箔の輝き以外に目的はなかったと想像され、汚れたり黒ずんだ金閣は金閣ではないということです。
しかし新しく建てられた白木のお寺は古寺の凄みや美しさとは縁がないようにさえ見えます。



桂離宮の幾何学的な立面



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