2018年2月28日水曜日

スケルトン改修 新旧融合

京都で注文住宅・木造住宅・木造建築・町家・数寄屋建築等の新築・リフォーム・古民家改修を行う工務店 一級建築士事務所


改修の目玉となる格子耐力壁の材料が徳島より搬入されました。
背割りを無しにしたい為、節無し、芯去り材を選択しました。



綺麗な材です。

これが地震に耐える役割を今後果たします
格子耐力壁
木材同士がめり込みながら抵抗する為、簡単に終局破壊しない粘り強い壁です。


2階の大開口部に格子耐力壁を施工するべく、欄干を柱に付ける工事です。
仕口が見事です。
欄干の貫や手摺、足固め材を拾い出して新しい柱に刻み付けます。
材は京北町林材木店の檜


欄干の間に格子耐力壁を入れます






新旧の神業コラボです

経験の浅い職人も比較にならない高度な技術を持った熟練工も日当がそんなに変わらないというのが現代の建築シーンの問題です。
日当が技術の差に比例して上がるのであれば若い職人も技術を磨くのですが、そこまでの腕が要求されないように進化しているのが木材を全てボードとクロスで覆う今の住宅シーンなんです。









2018年2月4日日曜日

スケルトン改修

京都で注文住宅・木造住宅・木造建築・町家・数寄屋建築等の新築・リフォーム・古民家改修を行う工務店 一級建築士事務所


構造改修も終盤  荒壁パネルの施工を行っております。
和建築の土壁の壁下地である荒壁は、調温・調湿優れていまが、小舞竹等の手間と長い乾燥期間でコストが問題です。


木舞竹
乾式パネル化した荒壁パネルは、荒壁の優れた土壁の性能を短工期・低コスト(※小舞竹に比べてであって一般的な意味での低コストではありません)の現代版の土壁下地です。

地震に抵抗する強さとしては両面張りで2.6倍の倍率があります。
これは従来の貫や小舞竹の1.0倍~1.5倍の壁倍率と比べても相当の強度があります。
メーターモジュール(京間用)で 1900*600*26mmで18.5キロもありますので持つと結構重いです。
この26mmの荒壁パネルを、ステンレスのビスで木の下地に打ち付けていきます。
この下地の木は何でも良いのですが、杉か檜が適していると思います。
WW(ホワイトウッド)などは水にさらされるので経験上使いません。
本件では杉の下地です。
壁が出来てくると建具の枠廻りの大工さんとの意思疎通が必要です。
改修の場合は断面の寸法などが規格と異なる為に、現場で原寸で納まりを描くことが多いです。






木取をして材料を取って現場に入れます。
木取りはこんな感じで材木屋に頼みます。必要な木材によって発注する材木屋は変えます。

部位 材種 厚み 長さ 個数
ドアA
鴨居 トガ   40  70 2000  1
無目鴨居 トガ 42  103 1000  1
無目敷居 トガ 45  103 1000  1
方立   トガ 30  70 1900  1


現場に入れてからはどれがどこの枠材かわからなくなるので建具ごとに分けておきます。


こんな感じです
昔の大工棟梁は図面から見積、発注、施工まで全てを担っていましたが、法規や確認申請がややこしかったり、建売住宅などは、大工一人で現場に入る為、ほとんどの大工さんが一人親方です。
棟梁が何人かの大工を抱えるというスタイルは数年がかりの現場で一部の数寄屋・宮大工の世界の話で一般住宅ではまず見かけません。建て方の時だけ集まるという感じです。
今は、分業化されていて図面は設計士や工務店、拾いと発注は工務店、大工さんは、現場で材料や釘・ビス等が入ってから仕事に入れるという感じです。
エラーが出やすい仕組みなので、昔の方が効率的ですが現在はこうなってます。
できるだけ分業化を減らす方向で努力したいところです。
拾い出し・発注者と刻む人が違うので、釘やら材料の打ち合わせが重要です。


          檜の鴨居と敷居  120*140 上小節  鴨居の加工