藤原京造営のためにおかれた田上杣、東大寺造営用におかれた伊賀の板蠅杣など滋賀県には古くから良材の代表的な杣(古代から中世にかけて大規模な伐採地のこと)があったとのことです。
縁あり伊賀杣の産地の低温乾燥材をSOLの新築で用いることができ、その製材所見学の模様です。
滋賀中央森林組合
天然乾燥をしながら出荷を待つ杉の梁材
この製材所では当然ながら一般に使われる高温乾燥材も納期の要求から在庫されておりました。
高温乾燥材は120℃で一気に高温で乾かすので内部割れが起こります。
ヘミセルロースが分解され材色変化や耐蟻性、含水率の低下などのいわゆる乾燥材問題が起こります。
伊賀杣に限らず徳島の中千木材さんでも耐蟻性の実験が行われており、耐蟻性の低下と高温乾燥の因果関係が問題視されております。
高温乾燥材の内部割れ
材色変化は顕著です。サンプルで頂いた材の比較です。
左が低温乾燥材 右が高温乾燥材
源平;赤身(芯材)と白太(辺材)が見た目に分かれた低温乾燥材の自然な材色と比較し高温乾燥材は源平が目立たず、全体に焦げた感じの色になります。実際に匂いも焦げた匂いがします。
源平は新築直後はピンクと白で色がバラバラで少し野暮ったいと思われるケースもありますが、経年で落ち着いた色になります。
徳島杉に伊賀杣の杉も加わり、地産地消の観点からも、製材所見学の上でも近県の滋賀で良材が揃うのは有難いです。